特集:
2008/06/12 日記M&Aコンサルティング
村上ファンド(むらかみファンド)とは、元通商産業省官僚の村上世彰、元野村證券次長の丸木強、元警察庁官僚の滝沢建也らが率いていた、投資、投資信託、企業の買収・合併に関わるコンサルティングを行っていたグループの通称である。中核となる企業は、株式会社M&Aコンサルティングや株式会社MACアセットマネジメントであった。概要
日本では、株式持合いなどにより株主が経営者に対して意見をする社会通念が育たなかったため、「もの言う株主」として注目を浴びることとなったファンド。米国では株主が経営者に意見をする事は当たり前の事とされており、これら投資家は「アクティビスト・ファンド(活動的投資家)」と呼ばれる。しかし、我が国では投資に対する社会的理解が小さく、村上ファンドを「実態はグリーンメーラー、総会屋ファンド、ハゲタカファンドであり仕手筋であった」などと感情的に批判する意見が多く見られる。運用資産額は、2006年3月末で4444億円(日本証券投資顧問業協会提出資料より)を超えており、そのうち3705億円が海外の大学財団などから、残り739億円が国内のオリックス (企業)|オリックス、農林中央金庫、石油資源開発、ウシオ電機、立花証券などからの出資があるとされている。個人では、1999年同ファンド設立時に富士通総研理事長だった、第29代日本銀行総裁の福井俊彦が1000万円出資していた事が、2006年6月13日の参議院財務金融委員会|財政金融委員会で公にされた。ファンド代表の村上世彰が、証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕・起訴されたこともあり(''詳しくは、下記の「#証券取引法違反|証券取引法違反」を参照のこと'')、ファンドからの資金が引き上げなどがあり、ファンドは解散に追い込まれた。2006年11月7日付けの東京新聞(中日新聞)で、ファンドが保有するほぼ全ての株式を売却していたことが報じられ、「年度内にもファンドは解散」となることが関係者の話で判明。2006年11月18日には、ファンドの日本国内拠点が六本木ヒルズから完全撤退した。企業構成
村上ファンドは、下記の企業および投資ファンドなどから構成されていた。中核企業
本社 東京都港区六本木六丁目10番1号 六本木ヒルズ森タワー20階
事業内容 投資顧問業
代表者 代表取締役 丸木強(2006年5月24日まで村上世彰)
2001年1月に、オリックスの支援を受けて、休眠会社のクロス・ウェーブ株式会社(研修施設運営会社)を株式会社エム・エイ・シーに商号変更する形で設立している。2004年6月に、株式会社M&Aコンサルティングに商号変更。*株式会社MACアセットマネジメント(マックアセットマネジメント)
本社 東京都港区六本木六丁目10番1号 六本木ヒルズ森タワー20階
代表者 代表取締役 岡田裕久
株主 有限会社オフィスサポート46%、株式会社オリックス45%
もともとは、こちらの社名がM&Aコンサルティング(エムアンドエイコンサルティング)であったが、2004年6月に商号を入れ替えるように変更。運用するファンドは新・M&Aコンサルティングに移管している。
ファンドの末期には、シンガポール法人のMAC ASSET MANAGEMENT PTE. LTD.を設立して資産を移転させ、MACアセットマネジメントは廃業している。
2006年のニッポン放送の株式買占めの際に、買い付け主体となったのは、MACアセットマネジメントである。*株式会社エム・エー・シー(MAC)
設立 1999年10月
本社 東京都港区六本木六丁目10番1号 六本木ヒルズ森タワー20階
代表者 代表取締役 村上世彰
資本金 1000万円
株主 有限会社オフィスサポート100%
2005年11月の新日本無線のTOBの際に、直接の買い付け主体となったのは、MACである。投資事業組合など
歴史
株式を5%以上取得していた銘柄
(詳しい方、改編ねがいます。売却した年月の記述など)
: 現在はフジテレビが完全子会社化、同社を分割吸収し現在に至る。
: 後に親会社の住友電気工業|住友電工がTOBをかけて完全子会社化、現在に至る。
: コナミが同社保有株式を四條に売却、インデックスホールディングス|インデックス(当時)が株式を取得。その後、同業準大手のトミーと合併し現在のタカラトミーとなる(鉄道模型事業とフィギュア関連事業(鉄道むすめ・バスむすめなど)は分社化(現在のトミーテック))。
: ジャスダック証券取引所|JASDAQの買収計画あり(経営統合を視野に入れていると考えられる)。
: その後、保有株式を肩代わりしたアパレル大手・オンワード樫山が筆頭株主となり、同社の傘下に入る。
: この買収を契機に阪神は阪急ホールディングス|阪急HDと統合し、現在の阪急阪神ホールディングス|阪急阪神HDとなった。
: 2006-07年頃に楽天が筆頭株主に。一度は敵対的TOBと言われていたが、現在は事実上の停戦状態(両者間での何らかの提携を模索していると思われる)。
東京スタイル事件
連結決算が約600億円に対し資産が1100億円という東京スタイルがファッションビルへ最大500億円を投資すると発表。M&Aコンサルティング(以下M&A)(2002年1月15日には全体の9.2%の株を所有)が、1月31日には東京スタイルに対して「ファッションビルへの不動産投資」を中止し、その資金を「配当」「自社株購入に投じる」という株主提案権行使請求書を提出。株価が大幅に上昇した。株主総会の議決権確定日までに、M&Aが所有する株式は全体の12%余りを所有し筆頭株主となる。これに対して東京スタイル側は銀行や取引先など持ち合い株の多数派工作を敢行。一方で株主配当金の増配や10%の自社株購入を提案。M&Aが期待していた個人投資家の過半数が会社側支持に回った事、さらにM&A側に好意的だった外国人投資家の一部の委任状が不達となったことからM&A側の敗北となった。「会社とは誰の物か?」という観点から株主利益が見直される契機となったことなどから、日本における重要な経済事件のひとつとして記録されるだろう。M&Aコンサルティングとニッポン放送の関係
フジテレビジョン|フジテレビという企業は、元々ニッポン放送と文化放送、それに東宝などの映画会社が共同出資して興した企業である。そのためフジテレビの筆頭株主がニッポン放送だった構造が続いていた。そして、保有するフジテレビ株の時価総額がニッポン放送の全株式の時価総額を上回る親子逆転の状態が長い間続いていた。そこに目を付けた2003年7月にM&Aコンサルティングがニッポン放送株の7%を取得した。その後も着実にニッポン放送株を買い続け筆頭株主に躍り出た。2004年6月におこなわれたニッポン放送の株主総会の前に(5月25日)M&Aコンサルティングは「ニッポン放送とフジテレビの2社による持ち株会社を設立」、「同年2月にニッポン放送がフジテレビ株を売却した事で会社資産の110億円が流出した事」を指摘、M&Aコンサルティング社長・村上世彰らの社外取締役候補の選出を提案(このときのM&Aの持ち株は関連会社込みで19.5%)。これに対してニッポン放送は、ジャーナリストの野中ともよ、弁護士の久保利英明(後のライブドアとの対立でニッポン放送側の弁護人)、みずほ信託銀行社長の衛藤博啓の3人を選出。6月8日、M&A側は株主総会で村上らの社外取締役の提案を撤回、一方で資本政策について議論する「資本政策懇話会(仮称)」の設置を実現。その後はニッポン放送の経営権問題を参照。以下は「ニッポン放送の〜」に記載されていなかった出来事を書く。2005年2月25日ニッポン放送がフジテレビに対しての新株予約権について両社に対して批判的なコメントを発表。同年2月28日にM&Aが関東財務局に提出した大量保有報告書でM&Aが所有しているニッポン放送株の持ち株比率が1月時点では18.75%だったものが3.44%まで減少していたことが判明した。証券取引法違反容疑
2006年6月5日の午後、東京地検特捜部が、村上を証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕した。村上は同日午前11時より東京証券取引所で記者会見後、都内で逮捕され、東京拘置所に勾留された。村上はライブドアから2004年11月8日、ニッポン放送株式の発行済み株式数の5%を超える取引を行う意向を聞かされながら、翌9日〜2005年1月28日まで、同放送株計193万3100株を売買したのではないかとされている、これがインサイダー取引に該当するとの疑いが持たれている。村上は2004年9月15日、既に買い進めていたニッポン放送株の処理に困ったのではないか、ライブドア元代表取締役の堀江貴文や前財務担当取締役の宮内亮治に、一緒に同放送株を取得するよう要請したのではないかとする指摘がある。この際、「村上ファンドで17%持っているので、ライブドアで3分の1取得すれば同放送を手に入れられる」と持ち掛けたのではないか、これを受け、ライブドアはニッポン放送株式の取得を検討したのではないかとする指摘もある。2004年11月8日、宮内らが村上ファンド側の担当者らとニッポン放送株式の取得について話し合ったとされている。東京地検特捜部はこれ以降の村上ファンドによるニッポン放送株式の取引がインサイダー取引に当たると判断した。また、村上は逮捕当日の午前、東京証券取引所で報道陣らに対し記者会見し『宮内さんから「やりましょう」と聞いたのは事実です。証取法違反の構成要件にあたる』と認め、「プロ中のプロとしておわび申し上げたい」と何度も謝罪した(裁判開始後は容疑を否認している)。ニッポン放送株を巡るインサイダー取引事件で、東京地検特捜部は6月23日に村上と同ファンド中核のMACアセットマネジメントを証券取引法違反の罪で東京地裁に起訴した。6月26日、村上は保釈金5億円を納付し保釈された。2006年11月30日、ファンド元代表の村上世彰被告ら(証券取引法違反容疑で逮捕・起訴)の初公判が開かれ、村上被告人は起訴事実を全面否認した。論告の際に検察官が行った求刑は、懲役3年、罰金300万円、追徴金11億4900万円。2007年7月19日、東京地裁刑事第4部(高麗邦彦裁判長)は、村上に対して懲役2年、罰金300万円、追徴金11億4900万円の実刑判決を言い渡した。村上は即日控訴した(現在、控訴審の審理中)。インサイダー取引事件での実刑は異例であり、インサイダー取引と認定される事例が増えてしまうのではないかという不安磯崎哲也 「日本のインサイダー取引規制を考える(問題意識編:今の規制で日本は大丈夫なのか?)」『isologue - by 磯崎哲也事務所』2007年8月6日。や、裁判官は、結局は利益至上主義を罰したかっただけであり、法曹の世界には証券、金融業のプリンシパル、メカニズムを理解している人が非常に少ないのではないかといった意見保田隆明 「村上裁判:結局は利益至上主義を罰したかっただけでは?」『ちょーちょーちょーいい感じ』2007年7月20日。がある。参考文献
脚注
関連項目
外部リンク
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