特集:
2008/06/22 日記<投資銀行>
投資銀行
投資銀行(とうしぎんこう)とは、顧客企業が有価証券の発行による資本市場からの資金調達をサポートし、合併や買収などの財務戦略でのアドバイスを行う金融機関である。個人向け業務は行わない。
概要
この名称は、個人などから預かった預金を元手に企業に融資を行う商業銀行 と区別するための用語である。商業銀行はその収益の大部分を主に企業に融資することにより発生する利息に依るのに対し、投資銀行の収益は株式や債券の資本市場における発行時に発行額に応じて徴収する手数料に依ることが特徴である。自らは大きな資産を有さないので「銀行」と訳されているが、むしろ法人向け証券会社にイメージが近い。業務の性格上、業界における存在感は大きいが、バランスシート的にはほとんど資産を有さないので、上場している外国の投資銀行は、巨大なバランスシートを有する商業銀行の買収の対象になってきた(例:UBSによるディロン・リードとペインウェバーの買収、クレディ・スイスによるファースト・ボストンの買収など)。また、投資銀行が主として行うビジネスの類を「投資銀行ビジネス」と呼ぶことがある。その中でも財務アドバイザリー業務、企業再生ビジネス等は金融機関以外からの進出も目立ち始めている。投資銀行の具体的業務は、顧客企業に対して上述の通り有価証券の発行による資本市場からの資金調達、M&Aについての助言を行なう他、財務に関る部分では各種保有資産の流動化による資金調達(不動産やローン債権の証券化など)、金利や為替等の金融派生商品を用いた財務リスクヘッジがあり、極めて多岐に渡る。「投資銀行業務」とは呼べないものの投資銀行が手がけるビジネスとしては、顧客あるいは自己勘定のための有価証券や金融派生商品のトレーディング業務が挙げられる。日本では野村證券などの大手の証券会社、大和証券SMBCやみずほ証券などの証券会社と銀行グループの法人部門による法人金融専業会社、みずほコーポレート銀行などの法人向け銀行が投資銀行業務や決済業務を手がける。また、最近では金融業以外の企業が財務アドバイザリー業務などの投資銀行業務の一部に参入する例も目につく。近年、M&Aのアドバイザリー業務では、KPMGやプライスウォーターハウスクーパース等の監査法人やGCAホールディングス|GCAなどの独立系の業者がランキングに名を連ねるようになってきた。
米国
投資銀行発祥の地であるアメリカでは、ホールセール専業の投資銀行として設立されたゴールドマン・サックス、証券業務から投資銀行業務に進出したメリルリンチなどが有名。なお、アメリカでは1933年に成立したグラス・スティーガル法により商業銀行業務と投資銀行業務が明確に分離されていた(銀証分離とも呼ばれる)。モルガン・スタンレーはグラス・スティーガル法成立時に商業銀行となったJPモルガンと袂を分かって成立している。しかしながら、1980年代以降の規制緩和の中でグラス・スティーガル法の銀証分離規定も緩和されていき、バンク・オブ・アメリカやJPモルガンが証券子会社を設立することにより投資銀行業務に進出するなど死文化している。しかし、銀証分離規定の完全な撤廃も幾度も議論になっているが未だに正式に可決されていない。前述の通り、投資銀行は基本的に顧客の資金調達を支援し、財務戦略を助言するのが本業であり、通常自らポジションを取って投融資を行うことはなかった。しかし、銀行系証券会社が顧客企業の企業買収時に銀行融資による買収資金の供与することによりM&Aでのシェアを高めるにつれ、旧来の投資銀行も競争戦略上自らポジションを取って買収資金を供与する事例が増えており、投資銀行と商業銀行の境界が薄れてきている。近年の決算を見ると投資銀行部門の収益は、投資銀行全体の収益に占める割合は低い。ゴールドマン・サックスの2006年11月決算では純利益の15%、モルガン・スタンレーの2006年11月決算では同14%を占めるにすぎない。いずれの会社もトレーディング部門の収益貢献度が非常に高い。このため、トレーディング部門の社員は収益貢献度の低い投資銀行部門を卑下する傾向があり、近年の経営陣もトレーディング部門の出身者が昇進する傾向が見られる。また、日本ではバンカーと言えばいわゆる銀行員を指す言葉という認識が多いが、米国でバンカーと言えば投資銀行の投資銀行部門で働く人間を指す言葉という認識が多い。他に、メリルリンチやベアー・スターンズなど。
欧州
欧州ではスイス系のUBSやクレディ・スイス、フランス系のBNPパリバ、イギリス系のHSBC(香港上海銀行)、ドイツ系のドイツ銀行などが有名。しかし、欧州にはアメリカのグラス・スティーガル法のような銀証分離を規定する法律がなかったことから、上記の大手金融機関は1つの法人が商業銀行業務と証券業務の双方の営業活動を展開しており、商業銀行、投資銀行あるいは証券会社ではなくユニバーサルバンクと呼ばれることもある。投資銀行が利益の大部分を占めている金融機関が増えてきている。
日本
日本において投資銀行という名称が広く知れ渡るようになったのは、1990年代以降ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーのような米系投資銀行が高度な金融技術を武器に複雑な企業合併案件や巨額の資金調達のアドバイザーに指名されるようになってからである。前述の通り、日本では野村證券、大和証券、日興コーディアル証券|日興證券などの証券会社が主に投資銀行業務を担っていたが、それらの証券会社はメリルリンチのように個人向け有価証券売買の仲買業務の割合が高かった。法人向けの財務アドバイザリー業務などの割合が小さかったことから、証券会社は狭義の投資銀行ではないという意見もあった。しかし、資本市場の国際化や規制緩和に伴って、大和証券と住友銀行が合弁で大和証券SBCM(現大和証券SMBC)を設立したり、当時の日興證券とトラベラーズグループ(後にシティコープと統合してシティグループとなる)の合弁で同じく日興ソロモンスミスバーニー証券(現・日興シティグループ証券)を設立するなどホールセール専業の本格的投資銀行が出現した。また銀行系証券会社では、2000年に当時みずほフィナンシャルグループ傘下だった第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行(2002年に3行は会社分割|分割・企業合併|合併し、みずほ銀行、みずほコーポレート銀行となった)のそれぞれの証券子会社が合併したみずほ証券が法人に特化した営業を行ったり、2005年に三菱証券とUFJつばさ証券が合併した三菱UFJ証券が投資銀行ビジネスを拡大・注力するなど、日本でも狭義の投資銀行という業態が活躍するようになっている。日本の法人向け銀行(日本興業銀行や日本長期信用銀行(現・新生銀行)など)は、事業の大部分を法人への融資に頼っており、投資銀行業務を行なっているとは言いがたかった。しかしながら、企業の負債圧縮が進行し銀行融資に対する需要がなくなっていく中、みずほコーポレート銀行、みずほ証券は資産流動化や財務アドバイザリー業務などの投資銀行業務を積極的に手がけるようになり、みずほFGの利益の9割近くをたたきだしている。しかし、欧米の金融機関と比べるとまだまだ収益率が低く、リスクテイク能力・リスク管理能力の弱さを指摘されている。日本でもアメリカのグラス・スティーガル法と同様に証券取引法第65条が銀証分離を規定していた。しかし、アメリカと同様に緩和され、銀行子会社の証券業務参入が認められた。それから、みずほFGや三菱UFJフィナンシャル・グループ|MUFGなどの都市銀行を母体とする金融持株会社が出現し、商業銀行と投資銀行を傘下に置いている。さらに、2006年度に証券取引法とその他の金融商品に関する法律を合わせて抜本改正された金融商品取引法(投資サービス法も内包)が可決された。これにより、銀証分離規定が廃止され、銀行による証券業務参入と証券会社による銀行業務参入が自由化された。そして、欧州型のユニバーサルバンクへの道が開かれることになり、国内メガバンクもドイツ銀行グループやUBSのような世界的な金融グループへの発展が現実味を増している。
日本国内で投資銀行業務を行っている主な会社
'':Category:投資銀行を参照。''
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